こためも。

嬉しいこと、悲しいこと、うまくいかないこと、ちょっぴり達成感を得られたこと、そんなことをゆるっと書き連ねていたり、カレーへの愛を語ったりしています

【UAnd】新人営業ガール - 2

 

 

私が正規登用をされた初日、初めてひとりで接客することになった。

 

家庭用アンドロイドには機体の種類がたくさんあり、さらに目的に応じた機能を搭載して使うことがほとんどだ。

 

さまざまな人が契約しやすいように機体の値段を下げた結果、利益を出すために機能の搭載数を稼がなくてはならなくなった。

 

アンドロイド販売店の仕事は接客はもちろん、営業、修理など多岐に渡る。

 

新人である私の当面の目標はひとりで機体変更の手続きを行えるようになることだ。

 

機体変更とは、今まで使っていた機体から新しい機体に利用機体を変更すること。

 

手続きから、機体から機体へのデータの引き継ぎまでできるようになるころには知識も技術も半人前にはなるだろう。

 

戦力になるまで4年かかると言われるが人手不足が深刻なこの業界では、一人前と言わずいかに早く半人前になれるかがカギなのだ。

 

 

 

先輩方が続々と出社し、副店長を中心とした朝礼が始まる。

 

 

「みんなおはよう。今日の周知事項を確認しようか」

 

「おはようございます。今月の進捗はまずまずですが機体販売数で押し切っていてポイントが足りない状態です。先月に比べて故障による来店が少ないこともありますがー・・・」

 

「機能販売については防水機能は順調ですが防塵機能の獲得数が足りていないです。機体強化セット割引も今月から復活しているのでー・・・」

 

「昨日の夕方あがっていた故障速報で、PAシリーズのソフトウェア更新による機能不具合がまだ解消されていません。まだ全国事象として報告はないですがTRシリーズも構造上、同様の不具合が上がる可能性がー・・・」

 

 

良くないとは分かってはいるが先輩の周知が頭に入らない。

 

緊張でやたらと喉が乾く。

 

「周知は以上かな。今日はご予約が5件。朝1件、昼から2件、夕方2件。午後の3件はマエハラくんのご予約だからみんな協力してあげてくれ。他、共有事項はあるかな」

 

「はい。朝のご予約が機体変更希望のお客様なんですけど、ミナガワさんが手続きデビューします。みんなでサポートしてあげたいと思ってるから、何かあったらなんでも言ってね」

 

ショウタ先輩がこちらに微笑んだ。

 

他の先輩にもヘルプを頼みやすいようにわざわざこんな言い方をしてくれるあたりが本当にいい先輩だ。

 

「ありがとうございます!がんばります!」

 

分かってる。早く手続きできるようになって、知識もつけて、営業も上手にならないと。

 

そのための第一歩が、今日だ。

 

 

 

 

 

 

***

どんなお仕事も大変だけどこのシリーズは営業がんばる子のお話です。

タイトル決まったらまとめて変更するかもしれない。